NH4+の尿中排泄が低下し、尿pH > 7.0の患者で遠位ネフロンでのH+分泌を評価するために使う。
十分なNaHCO3を投与して、尿pH>7.0にする。NaHCO3を投与すると、遠位尿細管に大量のHCO3-が運ばれる。集合管からのH+分泌によって管腔内でH2CO3が形成される。遠位ネフロンの管腔膜には炭酸脱水酵素が存在しないので、H2CO3は、髄質集合管の下部の尿路においてゆっくりCO2 + H2Oに変換され、尿中のPCO2は血中のPCO2よりかなり高くなる(70 mmHg程度)。

- 集合管でのH+分泌が正常だと尿PCO2 70mmHg
- 集合管でのH+分泌が障害されていると、尿PCO2=血中PCO2となる。
- 集合管でのH+逆流入(アンホテリシンB )があるとPCO2は70mmHg程度になる。
- 集合管でHCO3-の分泌がある(SAO患者の一部)とPCO2は70mmHg程度になる。遠位ネフロンでHCO3-が分泌されると、管腔内液のpHが上昇し、H2PO4-からH+が放出され、HCO3-とH2CO3が形成されるから。
検査の制限:腎濃縮力障害が強いと、集合管でのH+分泌が正常でも、アルカリ尿の尿PCO2は低くなる。
参考文献
- Halperin ML, Goldstein MB, Haig A, Johnson MD, Stinebaugh BJ. Studies on the pathogenesis of type I (distal) renal tubular acidosis as revealed by the urinary PCO2 tensions. J Clin Invest. 1974;53(3):669-77. オリジナル論文
- DuBose TD, Caflisch CR. Validation of the difference in urine and blood carbon dioxide tension during bicarbonate loading as an index of distal nephron acidification in experimental models of distal renal tubular acidosis. J Clin Invest. 1985;75(4):1116-23.オリジナル論文の有効性を確認した論文